英会話 Let's Talk!

セーラジャーナル

英語さんぽ道

ワインを味わうようにお寿司を味わう

初めて日本を訪れたという彼は、「色々な国に行ったけどニッポンが一番好き。」とwelcomeワインを注ぎながら言う。その理由を聞くと、街がキレイでどこに行ってもゴミが落ちていない、秩序があり例えば、整然と電車を待って並んでいる。そして、食べ物がとても美味しい!と。

これから5日間一緒に過ごすホスト役の私は、なんだか嬉しくなった。高校、大学の留学を経て、日本は第二・第三の故郷になっている彼女に連れられ、今年のvacationは日本で、と彼と2人JRパスを使いながら関東、関西、そして北東北のここにやってきた。

美食の国からやってきた彼らとの食事は毎食が愉しく、「今日何食べる?」とそれはそれは真剣に?3人で話し合いながら食事を決めた。到着したその日はお寿司屋さんへ。「回転寿司とお寿司屋さんはそんなに変わらないだろう・・・」という彼に自身を持ってNon!と言った私。二世代の寿司職人が握っている老舗寿司店へ2人を案内した。お店に着き、カウンターに座らせてもらい、寿司シェフの所作を眺めながらwelcome dinner。まずは、お通しに出された蕨をゆっくり味わい、それから一貫一貫供される握り寿司を、まずは香りを確かめ、ゆっくりじっくり味わう2人。まるでワインを味わうようにお寿司を堪能している2人に、寿司シェフも大いに感激していた。

お店を出るとすぐに彼は「ここのsushiは、確かに回転寿司と違った!今まで食べた日本食の中でベストの体験だった。ありがとう。」と私の目をまっすぐ見て伝えてくれた。こちらこそ、そんなに味わってくれて喜んでくれてありがとう。

ある日は、ラーメン祭り!3人でスーパーに行き、塩、しょうゆ、みそ、とんこつ、それぞれの味のラーメンを購入、チャーシューやナルト、ネギ(畑のネギを採ってくるのは彼のお役目)を別に用意して、塩ラーメンから1つづつ作っては食し、食しては作り・・・ラーメンは、スープの感覚なのかな、2人もラーメンのスープまですっかり食べ切っていた。

日本の食事を何でも美味しい美味しいと喜んで食する彼ら、まさか・・・と思いながら、その頃旬だった山菜を出してみた。わらびやフキのキャラぶき、コゴミなど、どれもお代わりするほど喜んで食べていた。山菜のあのほろ苦さ、味わいがわかるというのは、流石ワインの微細な味を利き分ける舌を持っているのだろう。彼らが住む家には、小さなワインセラーがあるそう。

彼に毎夜のワインを注いでもらった。

まあ、その姿が美しくて。様になっていて。その姿を見ているだけでしあわせ気分。

 

最後の朝は、3人で蕨の海苔巻きを作った。彼は、一度は料理の道に進もうと志したようで、筋が良い。上手に海苔巻きを作っていた。

豊かな食文化のフランスと日本は、響き合う何かがあるような気がする。ゆっくりじっくりワインと料理を味わい、語らう時間を愉しむ彼らに豊かな人生の時間を教えてもらった。

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