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セーラジャーナル

英語さんぽ道

若者よ、武器を持て!

2009年新年。毎年やってくる新しい年、「あけましておめでとうございます。」というあいさつと共に、元旦には背筋が伸びる思いがする。大掃除、しめ飾り、鏡餅、除夜の鐘、おせち料理、年賀状、初詣・・・これら1つ1つのしきたりをしていくなかで、新しい年を迎える気持ちが重ねられていくように思う。想いと願いをこめて。お正月は日本の伝統、文化をより実感するときでもあるのではないか。子どもの頃面倒に感じていたこと、無意識にやってこういった風習の重みと価値をより実感したのは、アメリカやカナダで New Year を過ごしてから。大晦日から新年をパーティで愉快に飲み、カウントダウンをして、新しい年を迎える・・・だけでは、実に素っ気ない気がしてしまった。物足りないのだ。日本では、“年神様”という尊い神が家々を訪れるという信仰があったというお正月は、宗教的な行事であり新年に神聖な気持ちにさせてくれるのは、こういう裏付けがあるからだろう。 私達の日々の暮らしのなかでどれほどあるだろう。海外に飛び立とうとしている若者こそ、”日本文化”という武器を持って行ってほしいと願う。遣唐使、遣隋使の時代に日本に海外の文化を持ち運んだように、日本の文化を身を持って運んでいってほしいと思う。


さて、私は海外に短期留学派遣される高校生の英語面接を担当して3年目になる。2週間ホームステイしながら、現地の人々と交流し、アメリカ生活を体験するというプログラム。短い間とはいえ、親善大使の役割も果たすことになる高校生を選ぶ私達面接官は、10分弱の英語面接のなかで、適正を判断する。先月行なわれた選考試験面接の前に、あらかじめ本人が記入した応募の動機、趣味、特技などを書いた申し込み書に目を通していくのだが、目をひくのが、日本文化という”;武器”を身につけている学生。日本舞踊、弓道、合気道、書道、茶道、華道・・・など。日本舞踊、弓道のたしなみがある生徒には、実際にやってもらった。書道、茶道、華道を習っている生徒には、それらについて英語で説明してもらった。海外を訪れる、住むということは、日本人の自分を見つめる機会である。日本人って?日本人の自分って?ということを尋ねられ、自分のアイデンティティを問い直される。異文化に接触することによって、比較するものがあるからこそ、気づかされる自国の文化。外国人に尋ねられて”I don’t know”ではあまりにお粗末である。私達の祖先の方々が大事に守り伝えてきた文化の意味を今一度考え直し、身を持って伝えていきたい。 加えて、海外での暮らしでは思いがけず、多くの人のお世話になる。お返ししきれないほどのありがとうの気持ち。私自身は、日本料理でもてなす、茶道、華道、書道を通じてお礼を表してきたことも多くあった。喜ぶ友人、知人の笑顔を見ながら少しでもお返しできたのだはないかという安心感と共に、日本人の自分をはっきり自覚できた。そしてこれらが、自分の強み(武器)ともなり、外国人の中にいて自分のアイデンティティを保つことができた。そこには、いつもあぁーもっときちんと詳しく説明できたら・・・という悔しい思いもついて。


  ところで、年頭に観ていた討論番組で、1996年400万人代だった海外出国した20代の若者が、2007年には280万人代に激減したことを知った。リスクを負ってあえて、海外に行くより国内の温泉でのんびりする方がいい~と、温泉旅館は10代後半から20代の若者でいっぱいだという。このような現象を「限定合理主義」、「内向きになる日本人」とある経済学者は嘆いていた。閉塞感が強まるニッポンの若者。安定志向も結構、しかしこのままでいいのだろうか・・・。 私はあえて言いたい。   

            -若者よ、外に出よう! 若者よ、武器を持て!-

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